チャンスはあったが、何故かタイミングの合わないバンド。ナンバーガール。
ある4人組のバンドがいた。
売れる、売れない二の次で、かっこいい曲を作る。
ドラムは変なカウントの取り方。ベースは、特に難しいことをやってる訳じゃない。ギターは、男に比べれば、パワーが足りない。ボーカルは、華がない。
でも、とんでもなくかっこいいバンド。
とんでもない影響力を持ったバンド。
彼らに憧れるバンドはたくさんある。
影響を公言するバンドはたくさんある。
音楽シーンの頂点に行くようなタイプのバンドでは無かったが、音楽好きには狂喜して迎えられ、まだこれから、もっと先へ行くかと思われる中、突然解散し、20年経ち、突然の復活。そして、新しく曲を作るでもなく、過去の曲を演奏するだけのライブを行い、また解散してしまった。
テクニックももちろんあるが、バンドの色を出せるドラマー。ルードかつ直線的なベース。パワーではなく、切り裂くようなギター。文学的かつ、その独特な存在感で、バンドを牽引するボーカル。
一度も生で観れなかったことが悔やまれる。
だが、正直なところ、生で観たかったのは、解散直前の、ヒリヒリした切迫感に包まれた彼等だったんだ。映像では、何度も繰り返し観た。
何度も鳥肌がたったし、復活後の映像も観た。
なるほど、演奏技術は向上し、安定感が生まれている。
だが、俺が彼らに求めているロックというヤツは、決して安定感から生まれるものじゃなく、いつでも簡単に壊れてしまう、刹那的なものだったんだと今知った。
だから、もう2度とみることはない。